コンプレックスな関係
第1話
「春眠暁を覚えず…」
ポカポカと暖かい気温。
窓際から差し込む陽光は否応なしに眠気を呼び起こす。
眠い…。
ぼんやりと講義室の窓から外を眺めれば、
今年の新入生達が、サークル勧誘の波を楽しそうに歩いているのが見える。
「ぼけっとしてんなよ。莉生」
ぺしん
向かいに居た人物に頭を軽く叩かれて、私は意識を目の前に戻す。
「さっさと終わらせて帰るぞ」
「……叩くことないじゃん」
小さく抗議すると、貴弥がうるせぇと言い返してきた。