コンプレックスな関係
「安心していいよ。美和ちゃんに何かすることはないから。ただ心配なだけ」
「心配、ですか?」
「というより忠告かな?」
美和ちゃんは首を傾げている。
「デートするなら貴弥の目が届かないところでね?バレたら大変なことになるから」
「あっ…!」
ようやく美和ちゃんは腑に落ちたみたいだった。
「気付いたんですか…うまく隠せたと思ってたのに」
そう。
美和ちゃんには彼氏がいる。
「ファンデとコンシーラーでうまく隠してるね。貴弥は意外と鈍いから気付かなかったみたいだけど、見えるトコには付けないで、ってお願いしときなね」
美和ちゃんの顔が真っ赤になった。
それから私と美和ちゃんは、シスコンな兄に対する文句をひとしきり言い合った。
やっぱり美和ちゃんも、私と同じような経験をしていた。
解散する頃には、私と美和ちゃんの間には親近感が芽生えていた。
これからもちょくちょく会おうということなって、連絡先を交換した。