コンプレックスな関係


「勘違いしないでよ?私は莉生の気持ちを否定してるわけじゃないんだよ?だけどーー」


遥が更に言い募ろうとするのを、携帯の呼び出し音が遮った。


鳴ったのは遥の携帯だった。


助かった!


どこのどなたかわかりませんが、グッジョブ!


「ちょっとごめんーーあ、うん。少しなら大丈夫」


そう言って遥は店の外へ。


この電話が区切りになって、話題が貴弥から逸れたらラッキー。


遥の容赦ない貴弥批判は、できれば聞きたくない。


「お待たせー。ごめんね、莉生」


戻って来た遥はどこか楽しそうで、何か良いことでもあったのかな?


「遥、嬉しそう。何か良い知らせ?」


話題転換を狙って尋ねれば、遥がニヤリと笑う。


……嫌な予感がする。


「考えたんだけど。結城君より好きだと思える相手に出会えればいいのよね」


は?


もしもーし?


遥さん、何を考えていらっしゃる?


「っつーわけで?」
「は…はる、か?」


がしっ、と遥が私の両肩を正面から掴んだ。


「これから合コン行くわよ!」


はぁっ⁉


「ちょ…遥!私は別にそんなのーー!」


慌てて抗議すると、遥の目がすぅっと細められる。


「もう参加するって言っちゃったから。莉生に拒否権はないよ?」


あぁ……。


遥さんの中に悪魔が降臨したらしい。


< 37 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop