コンプレックスな関係
「勘違いしないでよ?私は莉生の気持ちを否定してるわけじゃないんだよ?だけどーー」
遥が更に言い募ろうとするのを、携帯の呼び出し音が遮った。
鳴ったのは遥の携帯だった。
助かった!
どこのどなたかわかりませんが、グッジョブ!
「ちょっとごめんーーあ、うん。少しなら大丈夫」
そう言って遥は店の外へ。
この電話が区切りになって、話題が貴弥から逸れたらラッキー。
遥の容赦ない貴弥批判は、できれば聞きたくない。
「お待たせー。ごめんね、莉生」
戻って来た遥はどこか楽しそうで、何か良いことでもあったのかな?
「遥、嬉しそう。何か良い知らせ?」
話題転換を狙って尋ねれば、遥がニヤリと笑う。
……嫌な予感がする。
「考えたんだけど。結城君より好きだと思える相手に出会えればいいのよね」
は?
もしもーし?
遥さん、何を考えていらっしゃる?
「っつーわけで?」
「は…はる、か?」
がしっ、と遥が私の両肩を正面から掴んだ。
「これから合コン行くわよ!」
はぁっ⁉
「ちょ…遥!私は別にそんなのーー!」
慌てて抗議すると、遥の目がすぅっと細められる。
「もう参加するって言っちゃったから。莉生に拒否権はないよ?」
あぁ……。
遥さんの中に悪魔が降臨したらしい。