コンプレックスな関係
やっぱり私は合コンとか向かないんだと思う。
遥には悪いけど、選んでもらったこの服も、落ち着かなさに拍車をかけるだけで……。
「あ、陽典!こっちー」
遅れていた1人が到着したらしい。
顔をあげると、遅れて来た男の子がちょうど席に付こうとしていた。
……え?
私はその男の子の顔を見て、一瞬夢を見てるのかと思った。
「んじゃ、全員揃ったとこでもう一回自己紹介しよーぜ」
幹事役の男の子が提案して、改めてそれぞれ自己紹介する。
遅れて来た男の子は、高良陽典と名乗った。
なんかホッとした。
他人の空似か。
「じゃあ、次は女の子ね。莉生ちゃんからにしようか」
幹事役の男の子に指名された。
……なんで私なのよ。
どう見ても乗り気じゃないから?
「篠井莉生です」
それだけ言って座れば、横から遥がこっちを睨んでいた。
……気のせいだと思うことにしよう。
全員の自己紹介が終わって、再度乾杯した後も、私は1人でほんやりしていた。
遥の友達の1人は高良君狙いみたい。
確かに。
客観的にみて、4人の男の子の中では、高良君が1番カッコいい。
……でも、貴弥の方がカッコいい。
居心地の悪さに耐えられなくなって、席を立った。
「どこ行くの、莉生?」
遥に腕を掴まれる。
「ん。ちょっとトイレ」
そう断って、私は携帯と化粧ポーチだけ持って席を離れた。