コンプレックスな関係
結局、陽典君にお茶をご馳走になってしまった私。
お店を出てお礼を言えば、陽典君は笑顔で手を差し出した。
「じゃあさ、お礼に手、繋いでよ?」
「へっ?」
驚く私に構わず、陽典君は私の手を取ると、きゅっと握った。
「篠井の手、小さすぎじゃない?」
「……陽典君の手がデカいだけでしょ」
「そおかなぁ?」
「そうです」
陽典君はくつくつと笑うと、手の繋ぎ方をするりと変えた。
指を絡める繋ぎ方。
「……っ‼」
驚いて顔を上げれば、陽典君は前を向いて楽しそうに笑っていた。
……私、今、絶対、顔、赤い。
絡まった指と、触れ合う掌が
痛いくらい熱かった。
違う。
これは恋じゃない。
頭で分かっていても、鼓動が速くなってるのは事実で。
なんだかくすぐったい気持ちに、私も自然と笑顔が零れた。
でも、これは恋じゃない。
冷静に思っても、このときの私は確かに心浮かれてたのだろう。
楽しかったんだ。
陽典君の真っ直ぐで思いやりのある優しさや、屈託のない笑顔。
その居心地の良さに、無意識に甘えていたんだろう。
だから。
気付かない。
貴哉が見ていたなんて。
気付きもしなかった。
お店を出てお礼を言えば、陽典君は笑顔で手を差し出した。
「じゃあさ、お礼に手、繋いでよ?」
「へっ?」
驚く私に構わず、陽典君は私の手を取ると、きゅっと握った。
「篠井の手、小さすぎじゃない?」
「……陽典君の手がデカいだけでしょ」
「そおかなぁ?」
「そうです」
陽典君はくつくつと笑うと、手の繋ぎ方をするりと変えた。
指を絡める繋ぎ方。
「……っ‼」
驚いて顔を上げれば、陽典君は前を向いて楽しそうに笑っていた。
……私、今、絶対、顔、赤い。
絡まった指と、触れ合う掌が
痛いくらい熱かった。
違う。
これは恋じゃない。
頭で分かっていても、鼓動が速くなってるのは事実で。
なんだかくすぐったい気持ちに、私も自然と笑顔が零れた。
でも、これは恋じゃない。
冷静に思っても、このときの私は確かに心浮かれてたのだろう。
楽しかったんだ。
陽典君の真っ直ぐで思いやりのある優しさや、屈託のない笑顔。
その居心地の良さに、無意識に甘えていたんだろう。
だから。
気付かない。
貴哉が見ていたなんて。
気付きもしなかった。