コンプレックスな関係
案の定。
警察に迎えに行けば、貴弥は私を見て、ふい、と顔をそらした。
ちくしょう。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫だ。それより美和。なんでこいつがいるんだよ」
不機嫌丸出しの貴弥。
そーかそーか。そんなに私は邪魔か。
でもね。
「別に貴弥の為じゃないし。美和ちゃんが心配だっただけ。全く馬鹿じゃないの?たかがナンパ相手に喧嘩して、警察沙汰なんて。美和ちゃんがどんだけ心配してたと思うの?大事なんでしょ?だったら泣かすような真似してんじゃないわよ」
言ってやった。
ちょっとだけスッキリした。
「うるせぇよ」
低い声がして、はっとなった。
これは、怒ってる時の声だ。
「お前には関係ねぇだろ。口挟んでんじゃねぇよ」
やっと貴弥がこっちを見た。
怒らせてるのに。
煩いとかの言われてんのに。
それでも貴弥が私を見ていることが嬉しいなんて。
どうかしてる。