コンプレックスな関係



だけど、今はもう。


貴弥を好きな気持ちもあやふやだ。


付き合っていた時は、確かに貴弥を好きだと思っていた。


たげど離れてからも、それでも好きだと思うのは恋愛感情じゃなくて、執着とか依存とかっていう感情なのかもしれない。


帰ってちゃんと考えよう。


そう思ったのに。


つくづく美和ちゃんという子は恐ろしい子だと思う。


「莉生さん!」


帰ろうと一歩踏み出したら、美和ちゃんに手首を掴まれた。


「どうしたの?」


まだ何か心配ごとかな?


「あのっ…夏休み前の約束っ!相談あるって……」


きゅっ、と目を瞑って引き止めるように手首を掴んだ美和ちゃんに、あぁ、そう言えば…と思い出した。


日にち、決めてなかったな。


「ん。いいよ。いつにする?」


なんて、お姉さんぶって聞いたのがいけなかった。


「きょっ…今日!これからっ……その、ウチに来てくださいっ!」
「へっ⁉」


結城美和。


私は彼女という人間を読み間違えていたのかもしれない。

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