コンプレックスな関係
第13話
「莉生さん、珈琲と紅茶どちらにしますか?」
「…珈琲をお願いします」
私は今、結城家のリビングのソファーに座っている。
美和ちゃんの提案に当然ながら貴弥は猛反対。
駄目だ。許さない。嫌だ。
の一点張り。
結局最後は美和ちゃんの
「嫌ならお兄ちゃんが外に泊まればいいじゃない!私はお兄ちゃんより莉生さんと居たいんだから!」
という、涙ながらの抗議に貴弥は降参した。
貴弥と知り合って2年。
初めて私は結城家に足を踏み入れた。
不機嫌な貴弥とは対象的に美和ちゃんはご機嫌。
「……そんなに嫌なら自分の部屋に行けばいいじゃない」
散々文句ばっかだった貴弥は何故か私の向かいのソファーに座っている。。
「美和ちゃんに意地悪なんかしないし。そんな不機嫌面で居られても気分悪いわ」
「俺の家だ。どこに居ようと勝手だろ」
「……鬱陶しい…」
思わず口を吐いた言葉はしっかり貴弥にも聞こえていたようで。
「莉生!お前なーー」
「お兄ちゃん。部屋戻ったら?」
怒鳴る準備万端の貴弥の言葉を美和ちゃんの妙に冷たい声が遮った。