コンプレックスな関係
貴弥をリビングに置き去り、私は美和ちゃんの部屋に案内された。
「それで、相談って?」
単刀直入に尋ねた。
あまり長引くようなら日を改めた方が良いし。
泊まるのは避けたい。
「えっと…その……」
先程までの強気はどこへやら。
美和ちゃんは急におどおどし始め、やがて一人、何かを納得したようで私に向き直った。
「ごめんなさいっ!」
「えっ⁉」
突然謝られて、私はぽかんとしてしまった。
美和ちゃんに謝られる理由が見当たらない。
「相談って言うのは口実で…その…莉生さんとお兄ちゃんにやり直して欲しくて…すいませんでした」
「美和ちゃん。それは無理よ」
美和ちゃんが言いたいことなんとなく解った。
「莉生さんと別れてから、お兄ちゃんどこか変なんです。今日も…その…カフェから莉生さんが男の人と出て来たのを見てから、苛々してて…」
なるほど。
だから私が男と居たって知ったのか。