コンプレックスな関係
「お兄ちゃん、多分嫉妬してたんだと思います。遠目にも、すごく仲良さそうに見えたから」
嫉妬⁈
あの貴弥が⁉
私はそれこそ口をぽっかり開けてしまった。
だって、あり得ない。
「お兄ちゃん、多分自分で気付いてないんです。女の人と居るお兄ちゃんはいつもどこか無関心で、私の知らないお兄ちゃんで嫌でした。でも莉生さんと居る時だけは、私が知ってるいつものお兄ちゃんだったんです」
はぁ、と一呼吸ついて、美和ちゃんは紅茶を口に含む。
「美和ちゃん。私は貴弥に振られたのよ?私が振ったわけじゃない。貴弥の気持ちがどこにあっても、付き合っていけないと判断したのは貴弥なのよ」
だから私はこんなにも引きずっているのだろう。
自分の言葉にはっとなる。
「だけど、私、莉生さんがいいです。お兄ちゃんの隣に立つのは莉生さんがいいです」
美和ちゃんは俯いたまま、きゅっとカップを両手で握り締める。
美和ちゃんが本気で復縁を望んでいてくれるのは分かるし、とても嬉しい。
だけど。