オートフォーカス
高校までとは違い、比較的ゆるい講義が多い中でこの講義は少し特殊な方に入るだろう。

でも必修科目である以上、多くの生徒が2年までの間にこの講義を履修しなくてはいけない。

受講人数も多い講義は終了とともに賑わいをみせるのだ。

そんな中で情けなく震えた裕二の声が響いた。

90分という長い戦いを終えた戦士が灰になっていく様に篤希も雅之もクギヅケになってしまう。

裕二がこんな姿を見せるのは初めてではないか。

「おい…オールでもしたのか?ひでえ顔してんな。」

「隈…すごいよ、裕二。」

いつものように、ひねくれた言い方ではあるが雅之は素直に裕二のことを心配していた。

合わせて篤希も同じような言葉をかける。

顔を伏せたまま頭を腕にこすりつけ、唸り声をあげながら裕二は掠れた声を出した。

「うー…眠れなくてさ…。」

のっそりと起き上がるとぼんやりしながら片付けを始める、しかし手に力が入らないのか動きが鈍かった。

いつもなら講義が終わるなり勢いよく片付けて立ち上がる彼には見られない姿だ。

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