オートフォーカス
「代返しとくよ、いってらっしゃい。」

楽しそうな人を送り出すのも気分がいい。

篤希は手を振ると雅之に帰るように促した。

しかし雅之は立ち止まったまま篤希の顔を見て嬉しそうに微笑む。

「篤希ならいいかな。」

「え？」

「俺の連れ、すっげーイケメン。今度会わせてやるよ。」

まるで悪戯をしかけるように楽しそうに話す雅之に篤希は疑問符を浮かべた。

イケメンを紹介してくれるというのはどういう意味だろう。

美人じゃなくて。

「ええ？仁美や絢子にじゃなくて？」

イケメンなら男の篤希じゃなくて目の保養と普段から騒いでいる仁美たち女性陣の方がいいのではないのかと素直に思った。

しかし雅之は嫌そうな顔をしながら手を振ってそれを否定する。

「あいつは彼女いるから女はいいの。いい奴なんだけど友達少ないから相手してやってくれよ。」

なんだそういうことか。

友達として紹介してくれるというのなら、イケメンということを前面に出す必要はなかったと思う。

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