オートフォーカス
しかし雅之はきっと彼のことが好きで、イケメンというところも気に入っている要素なのだろう。

それが見て取れて篤希は笑った。

それで友達が少ないのか、珍しいものだ。

「友達の数は僕も人のこと言えないけどね。僕で良かったら是非。」

雅之のように交友関係が広い人から見ればだいたいの人は友達が少なくなるだろう。

それ中でも篤希は少ない方だと自分で分かっていた。

だからあえてそう答えたのだ。

しかし雅之が喜んだのは最後の言葉、提案に乗ってくれた篤希に対する感謝だった。

「隼人も喜ぶよ。じゃ、またな!」

隼人とはきっと篤希に紹介したい人物の名前なのだろう。

爽やかな笑みを浮かべて手を振りながら雅之は帰っていった。

雅之からは地元の友達の話を聞いたことがない。

彼の言う友達がどんな人物なのか軽く想像しながら歩いていると、同じ様に遠く離れた外を歩く加奈を見付けた。

「あ。」

それと同時にカバンの中に潜ませたある物の存在を思い出す。

< 126 / 244 >

この作品をシェア

pagetop