オートフォーカス
加奈は丁寧に手に取ると瞬きを重ねながら口を開く。

「凄い…綺麗だね。」

写真を見る加奈の目はキラキラしている。

「笠坂くんが撮ったの？」

「うん、そう。」

何かに気付いて加奈はもう一度手元の写真を見てから篤希を見上げた。

「あ、まさか買ったの！？」

「そう。」

嬉しそうに笑う篤希以上に加奈は興奮したようで椅子から立ち上がる。

以前から買おうとしていたカメラを手に入れた、そのことに彼女は気付いたのだ。

篤希が目標を達成したことを知ると加奈はその場で何回も跳ねながら感動した。

「凄い凄い！凄いじゃん！やったね！あ、これまだ挟んでるんだよ。」

そう言って彼女は手元にあった手帳から１枚の写真を取り出した。

なんと加奈はまだ篤希が学祭で展示した作品の写真を手帳に挟んでいるのだ。

しかしそれは何の感情も無しに撮ったものだけに篤希には恥ずかしさしかない。

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