オートフォーカス
「それはもういいって…。」
「あ、恥ずかしいよねー。ごめんごめん。」
そう笑う彼女の荷物の中にやはり建築の本があった。
大事そうに持ち歩いている本、何故かその存在が気になって仕方がない。
「その本、いつも持ってるんだ。」
「ああ、そうだね。」
軽く聞いてみても加奈は多くは語らずさらりとかわした。
本当に好きなものなら話題を振られたら嬉しそうに語りだすものだが、彼女は今日もそれをしない。
ついには形見か何かかと変な想像をするようにもなった。
このモヤモヤをなんとかしたいが、語ろうとしないことを無理に聞く訳にもいかない。
仕方なくこの話題を終わらせようとした時、ふと思いついたことが口から出てしまった。
「…なんか近くにいい場所ない?建物を撮りたくなってきたんだ。」
口にしてすぐに篤希は後悔した。
しかし篤希の言葉に加奈はその本を広げ隣の市にある図書館のページを見せた。
その表情はまるで生徒に説明をする先生のような余裕がある。
「あ、恥ずかしいよねー。ごめんごめん。」
そう笑う彼女の荷物の中にやはり建築の本があった。
大事そうに持ち歩いている本、何故かその存在が気になって仕方がない。
「その本、いつも持ってるんだ。」
「ああ、そうだね。」
軽く聞いてみても加奈は多くは語らずさらりとかわした。
本当に好きなものなら話題を振られたら嬉しそうに語りだすものだが、彼女は今日もそれをしない。
ついには形見か何かかと変な想像をするようにもなった。
このモヤモヤをなんとかしたいが、語ろうとしないことを無理に聞く訳にもいかない。
仕方なくこの話題を終わらせようとした時、ふと思いついたことが口から出てしまった。
「…なんか近くにいい場所ない?建物を撮りたくなってきたんだ。」
口にしてすぐに篤希は後悔した。
しかし篤希の言葉に加奈はその本を広げ隣の市にある図書館のページを見せた。
その表情はまるで生徒に説明をする先生のような余裕がある。