オートフォーカス
今日は篤希の通う大学の大学祭。
いつもと違う雰囲気に包まれた構内は今までにないくらい活気に満ちていた。
老若男女、様々なお客さんが模擬店やステージを目当てにやってくる。
他校の友人を案内する学生も多かった。
本来なら初めての学祭、有意義にのんびりとこの空間を楽しみたいところだがそうはいかない。
「はあ。」
大きなため息をついて自分の置かれた状況を悔やむ。
篤希の気持ちが上がらない理由、それは彼の左腕にあった。
記録係と書かれた黄色の腕章が空しくも太陽光を浴びて光を反射している、これを付けた篤希はがっちり運営側の人間だ。
頼んでもいないのに何が悲しくて運営側なのだろう。
縁の下の力持ちはのんびり構える時間なんてある訳がない、常にせかせかと動き回って何かしら仕事をしているのだ。
帰りたいがそうも言っていられない。
何せ彼の腕で光る記録係の称号は学祭後に本領を発揮する大事な役目がある。
首から提げた立派なカメラが仕事をしろと無言の圧力をかけている気がして堪らないのだ。
「次は2号館あたりにしようかな。」
小さく呟いて篤希は冊子を閉じた。
いつもと違う雰囲気に包まれた構内は今までにないくらい活気に満ちていた。
老若男女、様々なお客さんが模擬店やステージを目当てにやってくる。
他校の友人を案内する学生も多かった。
本来なら初めての学祭、有意義にのんびりとこの空間を楽しみたいところだがそうはいかない。
「はあ。」
大きなため息をついて自分の置かれた状況を悔やむ。
篤希の気持ちが上がらない理由、それは彼の左腕にあった。
記録係と書かれた黄色の腕章が空しくも太陽光を浴びて光を反射している、これを付けた篤希はがっちり運営側の人間だ。
頼んでもいないのに何が悲しくて運営側なのだろう。
縁の下の力持ちはのんびり構える時間なんてある訳がない、常にせかせかと動き回って何かしら仕事をしているのだ。
帰りたいがそうも言っていられない。
何せ彼の腕で光る記録係の称号は学祭後に本領を発揮する大事な役目がある。
首から提げた立派なカメラが仕事をしろと無言の圧力をかけている気がして堪らないのだ。
「次は2号館あたりにしようかな。」
小さく呟いて篤希は冊子を閉じた。