オートフォーカス

2.カッコいい名前だね

加奈と約束をした日はそんな先の話ではなかった。

次の週、お互いの講義やアルバイトがない昼に2人は電車で隣の市に向かうことにしたのだ。

それなりに毎日を過ごしていたらあっという間に1週間は過ぎていく。

午前中の講義を終え、お昼を食べた後に2人は一緒に大学を出た。

「そういえば、春休み中に百貨店でバイトしてた?」

ふと記憶が蘇って篤希は声にしていた。

あの時、絢子と買い物をした時に立ち寄った百貨店で加奈の姿を見ていたのだ。

「あ、見たの?」

「制服着て髪もまとめてたから誰かと思った。随分印象が違ったから。」

そりゃあねと加奈は笑う。

どうやら見間違いではなく本人だったようだ。

勿論見間違えるわけはないと確信があって口にしていたのだけど。

「あそこ催事場だから、期間限定なんだけど時給がいいんだ。それに一定期間で扱うものが変わるから飽きなくて楽しいし。」

楽しそうに話始める加奈に篤希の気持ちも高ぶってくる。

「物産展とか。」
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