オートフォーカス
人の出入りが少なそうな場所に行って少しだけでもいいからゆっくりしたい。

展示の多い場所ならそれが叶いそうだ。

休むタイミングを見付けられず昼も過ぎたというのに不休な篤希は疲れていた。

休まないと。

心身ともに疲れ果てて変な写真を撮ってしまう前に自分に優しくしてあげないと。

丸めた冊子をお尻のポケットに詰め込んで意気込んだ。

今日を初日とした大学祭はまだ始まったばかり、後夜祭が終わるまで篤希に休みはない。

というより、大学祭が終わってもまだ厳選、現像作業が残っていた。

現像した時に使えない写真ばかりだと取り返しのつかないことになってしまうだろう。

とにかく今頑張らないと、そしてその先も乗り切らないと。

「はあ。」

何度吐いても飽き足りないため息がまたこぼれた。

この先のことを考えると、やはり今少しでも休みたい。

「ゾッとするよ。」

何度嘆いても仕方ないが、なんの不幸だと悲しくなった。

早く癒しの場を探しに行こう。

そう思って歩いている時だった。

「おーい、篤希!」

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