オートフォーカス
「雅之。」

「カメラの調子はどうだ?可愛い女子を撮っておいてくれよ?」

人差し指を向けて注文をする雅之の言葉に篤希は笑ってかわす。

口だけで大した興味もないことぐらい分かるくらいの仲にはなっているのだ。

「んなこと言って興味もないくせに。」

篤希の心を代弁するように雅之の後ろにいた青年が呆れたように呟いた。

「健全な男なら当然の発想だろ、隼人。」

何を言っているのだと負けじと雅之もため息交じりで言い返す。

返された方も慣れた会話だからか聞き流していた。

隼人、雅之が口にした名前には聞き覚えがある。

整った顔立ちに羨ましくなるようなスタイルの良さ、センスの良さ、そして何より人を惹きつけるようなオーラを持った人物。

隼人と呼ばれた青年はまさにイケメンと称されるに相応しい人物だと篤希は思った。

少し圧倒されながらも思わず見惚れてしまう。

同性から見ても憧れてしまいそうな、そんな雰囲気を持っていた。

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