オートフォーカス
「篤希くん、お疲れさま。」

「えっ?どうして…。」

突然現れた絢子に篤希は驚いた。

花火と僅かな灯りしかないが絢子が微笑んでいるのは分かる。

「向こうから見えたの。はい、これどうぞ。」

「ありがとう。」

差し出したのはスポーツ飲料、さりげない心遣いにくすぐったい気持ちになった。

「良かったら座る?」

「お邪魔しようかな。」

空いていた横に手を差し出すと絢子はお礼を言いながら腰かける。

そして改めて2人は夜空の鮮やかな花火を見上げた。

「今日で学祭も終わりだね。」

「うん、充実した3日だったな。」

疲れたけど充実したという篤希に思いを高ぶらせる。

カメラをずっと構えていたせいか腕の筋肉が痛む、しかしそれもいい思い出になると満足していた。

何より去年とは違う気持ちで過ごせたのが新鮮で嬉しい。

自分にしか出来ない体験が出来たと思うと、やはり達成感が満たしてくれるのだ。

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