オートフォーカス
第6章 消えた加奈
1.紳士なだけだ
学祭が終わってしまうと瞬く間に空気は冷え込み、昼間もすっかり秋の装いになっていった。
そろそろコートやダウンが当たり前になりそうなくらい寒いと感じることが多い、見かける人もほとんどが暖かそうな服装をしている。
就職活動も活発化しているのか1つ上の先輩たちのスーツ姿も当たり前のようになってきた。
なんとなく不安になって指導室に顔を出す人も多くなり、ぼんやりとした未来さえ見えずに焦りを感じることも増えるのだろう。
ため息を吐く人間が増えたのは気のせいではないようだ。
そして篤希もその仲間入りをしていた。
先の道を作る先輩たちの戦う姿、見えない未来に不安になる。
就活が楽しいと言える人がいるなんて信じられなかった。
やりたいことが見付からない、でもなりたいと少しだけ夢を見たものならある。
特に深い意味もなくその資料を手に入れようと事務棟を歩いていた時だった。
随分先だが前を歩く後ろ姿に心臓が跳ねる。
見間違える訳がない加奈の姿に篤希は駆け出しそうになった。
「加奈…。」
しかし篤希の声が届く前に彼女は教務課に入り姿を消してしまう。
そろそろコートやダウンが当たり前になりそうなくらい寒いと感じることが多い、見かける人もほとんどが暖かそうな服装をしている。
就職活動も活発化しているのか1つ上の先輩たちのスーツ姿も当たり前のようになってきた。
なんとなく不安になって指導室に顔を出す人も多くなり、ぼんやりとした未来さえ見えずに焦りを感じることも増えるのだろう。
ため息を吐く人間が増えたのは気のせいではないようだ。
そして篤希もその仲間入りをしていた。
先の道を作る先輩たちの戦う姿、見えない未来に不安になる。
就活が楽しいと言える人がいるなんて信じられなかった。
やりたいことが見付からない、でもなりたいと少しだけ夢を見たものならある。
特に深い意味もなくその資料を手に入れようと事務棟を歩いていた時だった。
随分先だが前を歩く後ろ姿に心臓が跳ねる。
見間違える訳がない加奈の姿に篤希は駆け出しそうになった。
「加奈…。」
しかし篤希の声が届く前に彼女は教務課に入り姿を消してしまう。