オートフォーカス
連れとはつまり、篤希はその言葉の意味を理解すると笑って答えた。

「捕まったか。」

「捕まえた。」

してやったりと笑って加奈は手帳を取り出す。

「いつが空いてる?」




そして当日。

いつも通りその日の授業が終わると2人は電車に乗ってテーマパークへ向かった。

出かけるときは大学の授業が終わった後に電車で移動するのがお決まりになっている。

お互いに教科書が入ったままの重たい荷物を抱えて歩き回り、帰る頃には肩が凝ったと笑いあうのだ。

今日もきっとそんな締めになるだろうと2人とも思っていた。

いざテーマパークに着くと、そこは想像していたよりも小ぢんまりとした施設に少し拍子抜けする。

「乗り物とか、そういうアトラクションは無いみたいなの。でも機関車が走ってるって。」

「雰囲気重視ってことなのかな?」

とにもかくにも入ってみないと分からないと2人はさっそく入場して足を踏み入れた。

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