オートフォーカス
「細かいな。」

細かい造りに男の篤希も見惚れるほどだ。

酔っぱらいのサンタクロースが居たり、乳飲み子を背負ったお母さんサンタクロースもいたり、サンタの小学校もあったり、物語の再現のように楽しいものだった。

温室を堪能した2人が外に出ると、屋外の特設会場に設けられたクリスマスマーケットの案内が目にとまった。

「クリスマスマーケット?」

「あ、あそこだよ。」

篤希の呟きに加奈がその場所を指す。

日が暮れて暗くなり始めた場所にマーケットの明かりが眩しく輝いていた。

「ヨーロッパではクリスマスまでの1ヶ月、こういう市場が開かれて皆ここでクリスマスの準備品を買うみたい。」

パンフレットも見ずに加奈が説明をする。

その声を聞きながら今日もずっと仕事をしていた篤希のカメラが再び音を鳴らし始めた。

サンタの村で少し休憩していた他は大活躍しているカメラだ。

一方サンタの村では大活躍していた加奈の携帯カメラもまた活躍し始めた。

近くに行って、それぞれの屋台を見ながら商品に手を触れる。

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