オートフォーカス
冷えた体を温めるように熱いお湯にうたれる。

出てきた時にはリラックスしたのか、ベッドにもたれて加奈はテーマパークのパンフレットを読んでいた。

「あ、おかえりー。」

濡れてしまった二人分の本を出して乾かしてくれていたようだ、床には本が店屋のように並べられていた。

ドライヤーを返されると篤希も急いで髪を乾かす。

「簡単なのしか作れないけど、飯食べてく?」

それはお風呂に入りながら考えていたことだった、思ったより遅くなってしまった時間に体がエネルギーを求めている。

「わっ!嬉しいな~なんか手伝おうか?」

冷蔵庫を開けて2人でメニューを考えることにした。

やはり学生の一人暮らしにそんなに潤いがある訳でもなく、玉子と炒飯の素で済ませることがベストだと判断する。

「手伝うこと無さそうだから、部屋でも物色してる。」

「お手柔らかに…。」

篤希がフライパンを握っている間、加奈は宣言通りに部屋の中を物色し始めていた。

「おー!漫画よりも活字が多いねー!」

「おー!デスクトップ派なのか。」

「あ、カメラグッズ!こっちは今まで撮った写真?どれどれ…。」

「出来た!加奈、出来たぞ!!」

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