オートフォーカス
「本当に?下心あるんじゃないの?」

「下心って…!?あのな…。」

ベッドの上に乗ってクッションを抱きしめる加奈が篤希を疑いの眼差しで睨む。

確かに篤希から提案したが、他にどうしようもない状況だったから仕方がないのだ。

しかしどう弁解しようとも現状は疑われても仕方ない、ここは篤希の家で深夜に2人きりなのだから。

うまい弁解が見つからず篤希が困り果てていると加奈の笑い声が聞こえてきた。

「あはは、冗談よ。篤希にそんな勇気があるとは思えないわ。」

あっさりと胆の小ささを見抜かれてガックリと肩を下してしまう。

分かってはいたが面と向かって女性に言われてしまうと情けなくて泣きたくなった。

「僕は紳士なだけだ。」

「あの時やっときゃ良かったなんて、後悔しても知らないからね。」

「言ってろ。」

ベッドを加奈に譲る篤希、適当に余っていた布団やアウターなどを敷き詰めて床で寝ることにした。

「もう電気消すから。」

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