オートフォーカス
やっぱり知りたい。

あの時どんな選択をしていたら父親の会社は倒産せずに済んだのだろうか、彼の経営の何が間違っていたのだろうか。

それを知りたい。

コンサルティングの仕事をしたい、でもどうせならもっと極めたい。

負ければどんなことになるか、篤希は身を持って体験している。

いずれは世界にも出られるように、相手が海外企業でも負けないようなそんな自分になりたいとMBAを目指すことにしたのだ。

雅之も院に進んで車両設計士を目指す、2人は必須科目が重なりますます同じ講義が増えて行動を共にすることが増えてきた。


月日は流れて篤希たちは3年になった。


あれから忘れた頃にぽつぽつと加奈から手紙が来るようになった。

最初に来たのは夏の初め。

研修先で見付けた建造物の写真、篤希みたいにうまく撮れないと書いてあった。

携帯やパソコンのメールではなく手紙で来たのは驚いたけど、久しぶりに加奈に触れた気がして篤希は嬉しかった。

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