オートフォーカス
もとよりそのつもりだったのか雅之も当然のように椅子に手をかけて力尽きるように腰を下ろす。
「どう?卒論は。」
「いま逃げてきたとこだよ。頭痛え。」
がしがしと頭を掻きながら手にしていたコーヒーを流し込む。
力強い黒のラベルはブラック無糖、どうやら徹夜をしていたらしい。
必死に眠気と戦っているのだろう、唸るような声を出して机に頭を打ち付けている。
雅之は泊まり組、そういう篤希も朝イチで帰ってすぐに出てきたのだ。
とりあえずのお風呂と着替え、そんな時に加奈からの手紙を見付けた。
「あー…油断してると連れてかれそうになる…。」
「夢の世界へね。」
篤希の言葉に微笑むと机の上にある手紙に目がいった。
何かの文書にしては紙が小さいし、少し色気のあるように思える。
「それは?」
「手紙だよ。」
その存在を思い出し、もう一度持ち上げて最後の文章を読んだ。
目の前に力尽きそうになりながらも戦う同士がいる、篤希も加奈に背中を押してもらって卒業論文に向き合おうと思ったのだ。
「どう?卒論は。」
「いま逃げてきたとこだよ。頭痛え。」
がしがしと頭を掻きながら手にしていたコーヒーを流し込む。
力強い黒のラベルはブラック無糖、どうやら徹夜をしていたらしい。
必死に眠気と戦っているのだろう、唸るような声を出して机に頭を打ち付けている。
雅之は泊まり組、そういう篤希も朝イチで帰ってすぐに出てきたのだ。
とりあえずのお風呂と着替え、そんな時に加奈からの手紙を見付けた。
「あー…油断してると連れてかれそうになる…。」
「夢の世界へね。」
篤希の言葉に微笑むと机の上にある手紙に目がいった。
何かの文書にしては紙が小さいし、少し色気のあるように思える。
「それは?」
「手紙だよ。」
その存在を思い出し、もう一度持ち上げて最後の文章を読んだ。
目の前に力尽きそうになりながらも戦う同士がいる、篤希も加奈に背中を押してもらって卒業論文に向き合おうと思ったのだ。