オートフォーカス
「ありがとう、絢子もお疲れ様。」

差し出されたお茶を受け取りながら彼女の笑みに答えた。

篤希の言葉に絢子はさらに優しい表情で微笑む。

サークル内の2大美女、仁美と同じく美人だと騒がれる絢子は綺麗というよりも可愛らしい印象が強い。

やはりこの煙たい景色にも負けない爽やかさを持つ彼女は放っている空気が違った。

いつもはスカートスタイルが多い彼女だが、今日は動きやすいようにパンツスタイルにしたのだろう。

珍しい格好だが、何を着ても似合っている。

ダークブラウンの長い髪をポニーテールで緩くひとつにまとめた髪型を見るのは夏以来かもしれないと篤希は少し前の記憶を呼び起こした。

思わず守ってあげたくなるような、そんな男心をくすぐらせる不思議な魅力を持った子だ。

他にも可愛らしい女性は多いが、絢子と仁美は別格だった。

美人で姉御肌な仁美に守ってあげたくなるお姫様な絢子、2人の美女が入部した時サークル長は両手を挙げてそれはそれは喜んだそうだ。

なんの目論見があったかは知らないが、その1つとして学祭出店での売上もあっただろう。

それはさっきの行列を見たら成果は確認できた。

今さら確認するまでもないが、仁美と絢子の容姿や雰囲気は人を寄せ付けるものがあると実証されたのだ。

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