オートフォーカス
それが手に取るように分かって背筋が凍りそうだ。

「くっそー!だからあの賃金か!」

「高校の時はこんなんじゃなかったけどなー。」

「そりゃそうだろうね。」

抑えきれない感情から口が止まらない。

大学生になったら扱いが変わるのはよくある話だ。

「口動かしとる間あったら手足動かさんかい!」

「すんませんでした!」

バタバタ走り回り、階段は2段飛ばしで当たり前。

もう話す暇も与えられないくらいに働かされ、燃え尽きたように3人は仕事を終えて休憩室になだれ込んだ。

「だ…だりい。」

聞いたことがないくらいの低い声で雅之が呟く。

「篤希ー生きてるかい?」

裕二の声に篤希はうつ伏せたまま手を挙げる。

「なんとか…。」

正直に言えばもう何も話したくないくらいに疲れきっていた。

全てを投げ出してこのままここで眠ってしまいたい。

しかしその欲求は果たすことが出来ず、休憩室で3人が倒れていると絢子と仁美が入ってきた。

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