オートフォーカス
「いや、言われた僕の台詞でしょ。」
「それもそうだね~。」
あははと明るく笑うと加奈は濡れたカバンの中身をタオルで拭き始めた。
何事も無かったように鼻唄を歌いながら1つ1つ、残念ながら少し雑にカバンの中に収めていく。
いくら失速したとはいえ、まだ篤希の動悸は治まっていないのに彼女は平然としていた。
おかげで篤希には何も言葉が見つからない。
仕方がないから手伝おうかとカバンを下ろしたときだった。
「あれから写真撮ってるの?」
ふいに、手元に視線を残したまま加奈が話しかけてきた。
構えていなかった分、篤希の反応は遅くなる。
それは返事にも出ていたようだ。
「え?あ…うん、まあ。」
「うん?ハッキリしない答えだね。」
まさか動揺していたからとは言えない、それに理由はもう1つあったのだ。
「講義の実践だけで自分のカメラじゃないからね。でも…もうすぐ買えそう。」
最初はため息交じりに、次は微笑み交じりに篤希は答えた。
「それもそうだね~。」
あははと明るく笑うと加奈は濡れたカバンの中身をタオルで拭き始めた。
何事も無かったように鼻唄を歌いながら1つ1つ、残念ながら少し雑にカバンの中に収めていく。
いくら失速したとはいえ、まだ篤希の動悸は治まっていないのに彼女は平然としていた。
おかげで篤希には何も言葉が見つからない。
仕方がないから手伝おうかとカバンを下ろしたときだった。
「あれから写真撮ってるの?」
ふいに、手元に視線を残したまま加奈が話しかけてきた。
構えていなかった分、篤希の反応は遅くなる。
それは返事にも出ていたようだ。
「え?あ…うん、まあ。」
「うん?ハッキリしない答えだね。」
まさか動揺していたからとは言えない、それに理由はもう1つあったのだ。
「講義の実践だけで自分のカメラじゃないからね。でも…もうすぐ買えそう。」
最初はため息交じりに、次は微笑み交じりに篤希は答えた。