愛し方もわからずに。








千尋君は、笑ってた




「っ、…な、なんで、萌香ちゃんが泣いてんだよ」



あたしはいつのまにか涙を流していた


泣くなんて、柄じゃないのに





あたしには、普通に家族がいて
普通にみんな、家族仲良くて
大好きな友達もいて



そんな当たり前の日常が、当たり前じゃない人がいるんだと思うとなんだか涙が出てきたんだ





「泣かないで…」



千尋君は、あたしの頬に手を添えてまぶたにキスをした




そして親指で目から次々に流れる雫を拭った





「もう帰っちゃおっか」


あたしは、彼の言葉に頷いた




“バック持ってきてあげるからちょっと待ってて”千尋君は、そう言って部屋に入って言った






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