愛し方もわからずに。
―――あたしは、伊吹が好きなんだ
気づいてしまった
普通は、恋愛対象ではないコイツを愛してしまっていること
伊吹があたしのことを好きなんじゃない
あたしが、伊吹を好きなんだ
「好きだ…バカ」
蓋をしてた愛と涙が、留めなく溢れてくる
あたしは、伊吹にキスされたとき…
ううん。
ずっと前から伊吹のことを愛してたんだ
本当はずっと前から気付いていたのかもしれない
気付かないフリをしてた
意地悪で、自己中で、だけど優しい
あたしとは釣り合わないコイツを好きになってしまっていたことを認めたくなかっただけかもしれない
―――ベチンッ
裸の伊吹をこれでもかってくらいの勢いで叩いた
「ん…?」
それにびっくりして力を緩めた伊吹の腕からサッと抜け出した
「風邪引くわよ?
寝るなら、家に帰って!!」