本当の私は甘いかも。
「お前…偽物だろ?」
全身に得体の知れない衝撃が走った…ような感覚。
冷や汗が、背中を伝う。
「今……何て?」
聞き間違えだ…。
きっとそうだよ…聞き間違え、幻聴だよ。
でも私の願いは
「だから、お前は北川 有理とは別人だろ?」
一瞬で砕け散った。
「………はは。何言ってるの?私はどう見ても有理だわ。目がおかしいんじゃないの?」
動揺を頑張って隠し、有理お嬢様を続ける。
大丈夫…大丈夫…大丈……‥‥
「そんな目泳がせてよく言うぜ」
ぶっっ!!
お、泳いでたの?嘘、どうしよう…
「別に…そう!お前の顔を見たくないから逸らしてただけ!」
「ふーん」
納得したのか、してないのか分からない相づち。
すると大和は“何か思いつきました”という顔になって…
嫌な予感が…
「……なら、今日の料理どうだった?」
「えっ料理?」
「そ。感想は?」
???今日の料理の感想と、私が有理お嬢様かどうかとの関連性が見当たらないんですけど。
「えーと、凄くおいしかったよ」
ハテナマークを頭に散らしながら答える。
「じゃあこの前のは?」
次に大和が言った“この前”何て私が知るよしもなく…。
多分パーティーだしおいしいはずだよね。
「あれもおいしかったよ」