本当の私は甘いかも。
すると大和はさらに私との距離をつめ、顔には吐息がかかるほどに。
「へー…」
「な、何よ?」
意地悪い笑みを浮かべた大和。
もっと嫌な予感が…
「ほら…ボロがでた」
「ボロ?」
嘘だ。確かに適当に誤魔化したけど、ミスってないもん。
こんなの這ったりよ。
「どんなボロか言ってみなさいよ」
「あぁいいぜ。まず1つ目は北川 有理はこの前のパーティーで、“こんなくそまずい料理よく出せるな”って俺にわざわざ言いに来たんだけど」
「………」
「2つ目に、北川 有理はあんな旨そうに料理を食べない。つーか食べることに興味が無いみたいだぜ」
その時の大和の勝ち誇ったような顔に何も言えなくなった。
そうだったの…はぁ。
「観念したか」
「はい…」
もう誤魔化せないと悟り、私は小さく返事をした。
「名前は?」
「立花 歌穂、です」
深く俯きながら、呟く。
「俺は、まぁ知ってるだろうけど大和だ」
「はい知ってますけど、その………ちょっといいですか?」
「何?」
「この体勢を何とかして欲しいんですけど…」
私が深く俯いている訳は、この近すぎる距離のせい。
さっきまでは有理お嬢様だったからまだ耐えられたけど、今は無理っ!
「どうしようか」
どうしようかって、どーけーてー!!
「さっきまでと態度が大分違うけど、どうしたの?」
「アレは有理お嬢様だったからであって、これが私です。って、そんなこといいから離れて下さい!」
私は思い切って大和の胸を強く押してみた。
自分では最大限の力で押しているのに、1ミリたりとも動かない。
何だこいつ!?