本当の私は甘いかも。
「実は、立花歌穂様に大事なお話があって参りました」
「大事な…話しですか?それは一体どういったことですか?」
おじいさんの様子から私も背筋を伸ばす。
でも大事な話しなんて見当も付かなかった。
「はい。まず始めにこちらの写真をご覧ください」
おじいさんは胸ポケットから今度は一枚の写真を取り出す。
そして私に見せてくれたけど、その瞬間首を傾げる。
「これ、私ですか?」
そこに写っていたのは長い黒髪を巻いていて綺麗な青のドレスを身に着けている私だった。
でも…こんな洋服持ってないし、そもそもなんでこの人が持ってるんだろう。
まさか…ストーカーとか!?
「私達はストーカーでは有りませんよ」
「ですよね…」
私は曖昧な笑顔を浮かべておくけど内心はかなり驚いていた。
このおじいさん心が読めるのかな…。
本気でそんなことを考えているとまた、おじいさんが咳払いをする。
そこではっとなり、意識を写真に戻した。
「えーと、この写真は何ですか?私の写真みたいですけど…」
「こちらは…立花様の写真ではございません。北川株式会社社長の娘、北川 有理(きたがわ ゆうり)お嬢様でございます」
「………?」
キタガワユウリ?
誰それ?てかどう見ても私じゃんこれ…。
「どういった冗談ですか?」
私は半笑いで尋ねたけどおじいさんは静かに首を振る。
「冗談ではございません。立花様と有理お嬢様は見ての通り瓜二つ…ですが別の人物でございます」
そのおじいさんの真剣な眼差しに、嘘でも冗談でもないと思えた。