本当の私は甘いかも。


「ん??」


えーとっ…今のは聞かなかった事にしよう。



「ただし何?」



「俺の言うこと聞かないと、バラすから」


記憶をリセットしてみても返って来た答えは同じで、



「はああああ!?」


驚きと戸惑いと怒りと…たくさんの気持ちが入り乱れて、叫ばずにはいられなかった。



何言っちゃってんのこいつ!?俺の言うこと聞かないとバラすって、最悪じゃん悪魔じゃん。



ふざけんなっっ!ドキドキ撤回!!



私こいつの下僕にはなりたくない!



「そんな条件呑めるわけないでしょ!?」



「ふーん。俺は別にバラしても問題ないしな。手始めに北川社長に言ってくるか」



大和はそう言って会場に入ろうとしたけど、その腕をまた掴んだ。



手始めに一番言っちゃいけない人だよ、それ。



「どうする?」



うぅ……。



嫌だ…けど、私に選択枠なんてないよね…。



「分かった。言うこと聞くから、言わないで」



「了解」



満足げに呟き大和は、会場へ行ってしまった。



「………。」



何でかな…今無性にイライラする。
歌穂イライラする



っっ!イカンイカン、私はまだピチピチの二十代なんだから…アラホォーとは違うぞ…



いやでも、イライラする。あいつをかっこいいとか思ってドキドキした私が馬鹿だったのね。



すみません私が馬鹿でした~ばかばかばか!!!



どもそれ以上にばかなのはあいつだ!!



「ばかやろぉぉぉ」




1人取り残された廊下で、私はやり場のない感情を発散するしかなかった…。


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