本当の私は甘いかも。
守は子供っぽく笑うと、立ち上がり私の隣に移動して来た。
そして私の両肩に手をかけると大和から引き離してくれた。
やっと放れ………
ぼふっ
背中に何かが当たる感触。さらに守の腕が後ろから前に回され私の前で交差される。
きゅっと力が込められ、守の顔が肩に乗せられる。
ぎゃーー!!?
抱きしめられてる!!
自覚した途端、私は硬直状態に入り込んでしまった。
「あははー固まってて歌穂可愛い」
言いながら守は私の頬を人差し指でつついてくる。
あーーーーつつくな!
って言ってやりたいけど声が出ない…。
「う~~」
奇妙なうなり声がやっとの思いで出て、そのおかげで硬直状態が溶けた。
私は慌てて守の腕を外し、立ち上がって2人から2メートルの距離を取りクローゼットの陰に隠れた。
クローゼットに背中を預けて、自分の頬に手を当てる。
2人とも…何なのよ…。
からかわれる身の事も考えてよ。
私は顔だけ覗かせ恨みを込めて奴らを睨みつける。
なのに、守はそんな私を見てさっきの子供っぽい笑いとは違った悪い笑みを浮かべる。
なんだその笑いは?
こっちは本気で睨んでるんだぞ。
「歌穂って本当に可愛い」
「は?!?」
「そんな可愛いといじめたくなっちゃうね」
守のとんでもないセリフを頭の中で、理解するのに1分の時間を有し…
「はああああああああ゛!!!」
屋敷中に響くほどの絶叫がこだました。