本当の私は甘いかも。
「すげー驚いてる」
「だって!可愛いとか、いじめたくなっちゃうとか、言うから」
「本当に可愛いよ?」
守は首を傾げながら、また悪い笑みを浮かべる。
またそういうこと言うし……からかってるって分かってるんだから!!
これは、私をからかってる。からかってる。
からかって…る?
一瞬、守と目が合いすぐさまクローゼットの影に隠れる。
ダメだ歌穂!騙されるな!
私は自分の頬を二回叩き、心の叫びに対して頷いた。
そしてまた睨みを開始しようと顔を覗かせるも、守も大和も誰かと電話をしていた。
2人揃って電話って事は…お迎えの電話かな!
時計を見ると午後6時前を指していた。
しばらくして2人の電話が終わる。
「今のお迎えの電話でしょ?帰るなら西条さんに声かけておかないと…」
「ああ、じゃあ西条さんにさー今日泊まりますって伝えてくれる?」
「うん分かった。…………」
一瞬の静寂を挟み
「「は?」」
私と大和の声が綺麗にハモった。
「2人揃ってどうかした?」
面白そうに私と大和を交互に見る守に、大和が不機嫌そうな視線を投げかける。
「お前、泊まるってどういうことだよ」
大和の問いかけに私もうんうんと頷く。
「そのまんまの意味じゃん?歌穂ともっと一緒にいたいから泊まる。それだけ」
「え?」
またからかってるの?
不覚にも胸がドキッと音を立てる。
「いい?だめ?」
「えっ……いや、その、」
「ダメだ」
口ごもっていた私に代わって大和が答え守の頭をひっぱたいた。
それが結構本気っぽくて、守が頭を抱えてうずくまる。
「痛っ…。てめぇ大和何すんだよ!
つーか、お前が何でダメとか言うんだよ!」
「叩いたのは叩きたかったから。ダメなのはダメだから」