本当の私は甘いかも。
「なるほど…だから有理お嬢様が見つかるまでの間私に代わりをして欲しいってわけですね」
私の呟きに西条さんは頷く。
「大体の事情は分かりました……でも私に有理お嬢様の代わりなんて務まりますか?その、社長は有理お嬢様LOVEな訳ですしすぐばれちゃう気が…」
「それに関しましては私共が出来る限りサポート致します。立花様は少しバレないように気を付けていただければ大丈夫ですよ」
西条さんは目を細めて優しく微笑んだ。
それを見ていたら何だか私でも大丈夫な気がしてきたから、不思議だ。
「では、ご協力して頂けますか?」
「はい……うまく出来るか分かりませんが協力します」
「ありがとうございます!!」
西条さんは大きく頭を下げ涙声になりながら何度もお礼の言葉を並べた。
そして協力することになった私は早速有理お嬢様の着ていた洋服を着て、社長と対面することになった…。
長い廊下の突き当たりに大きな扉が目につく。
あそこにいるのか…。
不安と緊張が近づくたびに大きくなっていく。
「いいですか、極力お話ししなくて結構です。それと有理お嬢様になりきったおつもりで堂々となさって下さい」
隣で西条さんが小声で囁いてきた。
堂々とお嬢様らしく……ってお嬢様ってどうすれば見えるんだろう?
庶民だった私にはお嬢様の在り方が全く分からない。
西条さんにもお嬢様の在り方を教えてもらってないし…。
不安は募っていくばかりだった。