緋~隠された恋情
その日から、一人っ子だった私に

お兄ちゃんができた。


お兄ちゃんがうちの子になるためには

いろいろな法的手続きが必要だったみたいで、

正式にお兄ちゃんが仲野の性を名乗るのは、

1年ぐらいあとだった気がする。


その時小学2年生だったお兄ちゃんは、

ずっとずっとここで暮らした。

両親が死んで、残したこの店。

地元の高校中退して、

すぐに家を継いだお兄ちゃんは

きっとつらかったはずなのに、

『とても幸せなんだ』っていつも言ってた。


商店街のみんなに優しくされてここが大好きなお兄ちゃん。


そんなお兄ちゃんを私はずっと好きだった。


そして今も愛している。


そう、


私の秘密の恋情は、



兄に向けられている。



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