緋~隠された恋情
裂傷、打撲と複雑骨折全治2カ月と診断を受けた私、
入院している2週間の間、
お兄ちゃんは毎日やってくる。
「ありさ!今日はモモだぞ!」
「ああ、うんありがとう。」
「食うか?」
「ありがと。」
私ってばお兄ちゃんの片手になるなんて言っておきながら、
ただのお荷物に成り下がっていた。
「あのさ…」
お兄ちゃんは手際よくツルツルと桃の皮をむきながら
少しいいにくそうに話し出す。
「なあに?」
「平、下宿出て行った。」
「そ。」
「『そ。』ってお前…」
「初めて目が覚めたとき会ったもの。」
「そか…」
「お兄ちゃんが思ってるような仲じゃないから私たち。」
「うん」
明らかに誤解したままだろうその表情に、
思わず溜息が溢れる。
「ありさ。
俺がそばにいてやるから。
のんびりすればいいよ。」
私の頭をぽんぽんと軽く叩いて
作り笑いを浮かべた。
「もぉっ!」
私の振りかざした手は、
宙を泳いで、
温かいものに包まれる。
入院している2週間の間、
お兄ちゃんは毎日やってくる。
「ありさ!今日はモモだぞ!」
「ああ、うんありがとう。」
「食うか?」
「ありがと。」
私ってばお兄ちゃんの片手になるなんて言っておきながら、
ただのお荷物に成り下がっていた。
「あのさ…」
お兄ちゃんは手際よくツルツルと桃の皮をむきながら
少しいいにくそうに話し出す。
「なあに?」
「平、下宿出て行った。」
「そ。」
「『そ。』ってお前…」
「初めて目が覚めたとき会ったもの。」
「そか…」
「お兄ちゃんが思ってるような仲じゃないから私たち。」
「うん」
明らかに誤解したままだろうその表情に、
思わず溜息が溢れる。
「ありさ。
俺がそばにいてやるから。
のんびりすればいいよ。」
私の頭をぽんぽんと軽く叩いて
作り笑いを浮かべた。
「もぉっ!」
私の振りかざした手は、
宙を泳いで、
温かいものに包まれる。