緋~隠された恋情
「ありさ。」

お兄ちゃんのゴツゴツした手は

私の手を愛おしそうに握り占めた。


「生きててくれてありがとう。」


毎日のように病院に来ては同じことをする。


ばか兄誤解しちゃうよ。


「来週の月曜退院だって。」


「ありさ、俺NAKA閉めたんだ。」


「え?どうして?」


「都市開発で、商店街をビルにする計画があっただろ?


 ずっと、無理して頑張ってたけど、

 俺のわがままでみんなを無理させてるのわかってて、

 もう、これ以上は限界かもって思って、

 同意して、先週から店閉めてた。」



「そうなんだ。

 だから、ここに来てられたんだ

 早く行ってよ。

 お店大丈夫かなって、

 心配してたんだよ。」


「言いにくくてさ。」


「うん」


「ごめんな。父さんの店、守れなかった。」


「お兄ちゃん。

 なんで謝るの?

 今まで頑張ってくれただけで十分だよ。


 お父さんたちだって感謝してるよきっと。」


















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