緋~隠された恋情
偽りの中の真実
~偽りの中の真実~
シャワーの水圧を思い切り強くして
皮膚の感触を押し流す。
久し振りに抱いたありさ以外の女の肌はやけにねっとりとして
吐き気がした。
昨日、ありさの病室に行ったとき、
『もういらない』
と言ってしまった自分の言葉を
激しく後悔した。
そして愛着にも似た愛情をありさに対して持っていたことを、
今になって自覚した。
しかし、壊してしまったものを
直して使う術など、俺の生きてきた人生の中に
唯の一つも残しておくことはできない。
忘れよう。
満足だろう平。
俺たちの関係を知った新の傷ついた顔見られたんだ。
「ふふっ」
予想以上に苦しそうに歪んだ新の顔は、
俺の快楽のツボを未だ押し続けている。
長い時間をけて、
あの二人のそばでこの時を待っていたはずだったんだ。
なのに…
俺は泣いていた。
ありさに別れを告げながら
説明のつかない感情に咽び
呼吸すらままならなくなった。