緋~隠された恋情
「なぜ?」


「大嫌いだったよ。

 真っ白で。

 不幸なくせに前向きで一途で。


 いい人間が、

 世の中から全部消えたって

 お前は白いままだろうさ、

 でも、それは許せない。


 お前が俺を親友のように接してくるだけで、

 反吐が出たよ。

 お前のそのいい人ヅラを汚して、

 憎悪で満たしてやりたかった。」


そうだ新、俺を憎め。


この何年もの間、

俺が想像したように、

絶望に打ちひしがれ、

俺を憎めばいいんだよ。


新は眉をひそめて、

「知ってたと言ったら?」


「なっ…!」


「あの日より前に、

 お前たちのことなんてとっくに知ってたよ。

 傷ついたのは俺じゃないだろ?

 お前が傷つけたのは俺じゃなくてありさだろ?」


「は?」


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