緋~隠された恋情
でも、時折たまらなくなる時がある。
そんなときは酒に溺れて気をまぎらわした。
時には、そこで真央さんに慰められ、関係を持つこともあった。
酒に酔い、真央さんを抱き、
ありさを抱いた気分を味わった。
そして、何食わぬ顔で、
話のわかる優しい兄を装う。
まるで、機械のように感情を閉じて、
理想の兄を演じてやった。
ゆがみ始めた感情は、さらに歪みを増して
ありさの気持ちに気づいても
想いを寄せてくるありさに、
兄としての姿勢を崩さない。
そのことで、
面白いほど傷ついていくありさを
俺は心の中で楽しんでいた。
それでいい
もっと傷つけ!
結局は、本当の思いを、
口に出すことのできない意気地のなさが生み出した
歪んだ心と歪んだ想い。
決して終着点はないのだろうと思っっていた。
終着点など必要ないと思っていたのかもしれない。