緋~隠された恋情
「はあ」



気が進まないながらも、

病室の前まで来てしまった。

どんな顔でありさに会ったらいいんだろう。


ドアを開けようとした瞬間、

病室から、

大きな声が聞こえてきた。


「いやっやめて!

 出て行って!」


びくっ

俺に対しての拒否する言葉なのか?


しかし、それが俺に対してでないことがすぐにわかった。


「頼む!お前なしじゃいられないんだ、

 愛してるんだ!」


「私は愛してない。」


「本当にそうなのか?


 俺なしでも大丈夫なのか?


 誰がお前なんか愛するんだよ。


 抱かれながらほかの男の名前を呼ぶ女

 俺以外誰が抱けるんだ。」


「もういらない!

 お兄ちゃんはも、私を守る必要がなくなって、

 自由になったの。

 もう関係ないの。

 だから、私のことで傷つくこともないの。

 だから平も私にこだわる必要は無くなったんじゃない?

 お兄ちゃんへの優越感を満たす材料にはならないのよ。

 今の私に利用価値はないんだから」


「あいつの話はするな!」


きゃあ、いやぁぁあ--


「やめろ!」


俺が部屋に飛び込んだ時

ベッド上に平がのしかかっているところだった。





< 135 / 238 >

この作品をシェア

pagetop