緋~隠された恋情
「何やってるんだよ、

 ここは病院だぞ。」


「へえ、よく入って来れたな、

 
 なんだよ、病院じゃなければいいのか?


 そうか、そうだったよな、何度も見てるもんな、


 ありさが俺の下でよがってるところを、

 それなのに止めないで見ていたお前も、

 俺と同じで歪んでいるのさ。」


「おまえっ」


「否定しないよな、

 ありさ、お前の愛してる男は、

 お前がヤられてても止めることもしない

 卑怯者の上に臆病で意気地なしなんだぞ。」


「やめて聞きたくない!」


「ありさ俺……」


「いいかげんにして、

 平もお兄ちゃんも帰って!」


「平帰れ!」


「お前もだろ。」


「俺はありさの身内だ。」


「だまれ偽善者!

 血も繋がっていないくせに

 兄でもない、他人だろ?」


ボカッ!

「帰れって言ってるだろう」


自分で殴って驚いた。



平は勢いよく飛ばされて、

ドアにガシャッとぶつかった

唇のはしが切れて血が出ていた。

「やっとかよ、

 遅いぜ、

 ずっと見たかった。

 お前のそんな顔。」


「うるさい!」


感情が溢れ出す

たぶん、俺にとってこの感覚は生まれて初めてのものだ。


病室のドアが開いた。


「何やってるんですか、ここは病院ですよ」


そう言って睨みつけるように俺たちを見据えたのは


意外な人物だった。


























































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