緋~隠された恋情
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ぼんやりと病院の床の目地を見つめて

待合室のベンチに座っていた。

まるで、「待て」をされた犬みたいな気分だ。


どのくらい時間が経っただろうか、

せなかに温かい風を感じて、振り返ろうとしたら、

視界を柔らかいものが塞いだ。

「だ~れだ?」

甘えた声、

ありさ、お前の仲直りする常套手段。


「ありさ」


「ふふ、お兄ちゃんてば犬みたい。」

「おまえなあ。」


「鮎川さんて人、帰ったよ?」


「そうか。」


「いいの?

 お兄ちゃんあの人が好きなんでしょ?」


「なっ……?そんなわけない!

 誰が言ってたんだよ。」


「誰も言わないけどなんとなく。

 顔赤いよ?」


「そ、そんなわけあるかよ!

 からかうなよっ」












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