緋~隠された恋情
------------

「大丈夫?」


お兄ちゃんと平が病室を出てすぐ、

私に向き直って

その人はニッコリと笑った。


確か、鮎川さんっていう人。


商店街の人達と仲がいい。


「あそこは駅前の立地がいいところでしょ?

 随分前から商店街は、

 大きな商用施設に誘致されていたのよね。

 あ、もう知ってたわよね。

 でね、それが、決まったの。」



「あの?

 なぜそれをあなたが私に?」


「実は、仲野さんが、

 急に承諾してみんなにも話をつけたから決まったの。

 ずっと、あなたのために、

 お店残したかったみたいだったのに。」


「お兄ちゃん…」


「仲野さんて、

 ちゃんと話せないんだろうなって思って、

 大きなお世話焼くために来たの。



 ……


 ありささん。

 仲野さんはたぶん、


 ここを離れるつもりだと思うわ。」




 

< 143 / 238 >

この作品をシェア

pagetop