緋~隠された恋情
「ありさっお前、酔ってる?」
居酒屋に入るあたりから、あからさまに、
ありさの態度が変わった。
なんていうか、大胆ていうか?
「うん。そうかも、気持ちいい~。」
ありさはそう言って伸びをすると
床の上にころりんと転がった。
「まじか…」
「な~にがまじか?」
うふふんと
鼻を鳴らして
けらけらと笑い出した。
頬がピンク色で目がトロンとしている。
色っぽい。
バカ、スキを見せるな。
妹に欲情する変態なんだぞ。
首を横に振り
理性を呼び戻す。
ありさの頬に手を伸ばす。
「大丈夫か?」
その手をがっしりと掴まれて、
慌てる俺に、
ありさは笑ってこう言った。
「私を一人にしないよね。」
ぎくりとした。
まるで心をを見透かされているんじゃないだろうかと思った。
俺がありさのそばにいる意味はもうなかったから。
俺がいるせいでこれ以上ありさを傷つけたくない。
だから、ここから出て行こうと決心したんだ。
そっと頭を撫でてやると笑って寄りかかった来た。
「ありさ…」
声をかけたが、
すでに、
スースーと寝息を立てはじめていた。
ごめんありさ、もう限界なんだ。